■どういった問題を解決しようとしているのか
つい最近まで病気になった時にできることは、病院に行きお医者さんに診療してもらい、そのお医者さんの言う通りに治療を受けること以外になかった。しかしインターネットが進むにつれ、病気の情報やその病気をどのように治すべきかといった情報が簡単に手に入るようになり病院の医者以外からの情報源が増えつつある。
しかし、我々はインターネットの病気や健康に関する情報を信用しているのかというと、実はそれほど信用していない(インターネットユーザの半数以上がオンラインの情報が何も役に立たないと感じている調査結果がここに)。やはり、信頼できる医者や専門家に相談した結果得られる情報こそ信用できるものであるというのが大半の人のコンセンサスではないだろうか。
自分の体に異変を感じたらすぐに医者に相談したいし、大事の病気であればできれば複数の医者からオピニオンをもらいたい。しかし病院にわざわざ行き、1つの病院で1人のある医者に見てもらうことしかできないのが大半の人の現実だ。
また、社会的にも今医療制度は問題が山積みの分野である。国民健康保険の国の負担は今後高齢化に伴い年々増加していく。しかしその負担に耐えれる税収入は今後見込めず、今後医療制度は国民の負担が増える形で推移していくことに間違いない。医者とのやり取りという従来の形以外に病気を治療したり、未然に防いだりする方法はないのだろうか。
■どのようなサービスなのか
Health Tapは、無料でサービスに登録された様々な専門の医者から意見を聞けるサービスだ。
まず、ユーザはサービスにサインアップすると簡単な質問をされる。
質問に答え終わると、ユーザトップ画面に行く。この画面では、先ほど答えた自分の関心のある病気に関して、他のユーザと医者のやり取りがフィードされている。
使い方は簡単で、ただテキストボックスに自分の健康に関する質問を書くだけ。書くとこれがHealth Tap上に登録され、医者からの返答が来る。もちろんこちらのユーザ情報は、ニックネーム以外公表されることはない。逆に医者のプロフィールは細かく見る事ができる。現在トップランクのお医者さんは15468の投稿をしていて、93人からありがとうと言われ、368のAgreeをもらってると。これはお医者さんにとってすごい宣伝にならないだろうか?
思うに今まで病院を探すときその病院にいる医者の能力や評判を気にしていくことは一般的に少なかったと思う(もちろん重大な病気の場合は気にするのかもしれないが)。また、気にするとしてもちゃんとした評判を確認できるサービスはなかった。これは、患者にはもちろんだが医者側から見てもいいことではない。人間誰しもそうだがインセンティブがないことについては積極的に改善しようとしないものだ。評価が適切に広まらないシステムの中ではサービスの質は落ちて当然だと思う。多くの患者に適切なアドバイスを与えることができる医者が正当に評価され、患者が集まるというシステムができれば、それは患者にとっても医者にとってもwin-winなことだと思う。
■企業/サービスデータ
国 | USA |
---|---|
創業 | 2010/07 |
従業員 | |
月間ユニークビジター数 | 8,074 |
月間ユニークビジター増加率(昨年比) | 936% |
投資状況 | 2011/12 : $11.5M(Series A) |
投資総額 | $13.9M |
2011/11までのユニークビジター数データは以下の通り。2010年7月ローンチと新しいサービスで、現在8000人を超えるUVを持っている。
■デモグラフィクス
他のヘルスケアサイトと大きく違う点が1つある。ユーザの年齢層として25-34歳が多いこと。45-65歳以上のユーザが少ない事。これは明らかに本当にこのサービスを必要とするユーザにリーチしていない。恐らくサービスがローンチして間もないためまだ一般のユーザよりスタートアップ界隈の人たちのアクセスが多いのではないかと思う。このグラフが下記のようなグラフになるとHealthTapが本当に機能してきていると実感できるようになるだろう。
(Healthlineのデモグラフィクス)
■ターゲット市場について
Health Tapは、大きく見ればヘルスケアのウェブサービス市場に属する事になる。ターゲットのユーザもメインは40-60代くらいの健康に悩みをもつようになる人々だ。この戦場には、古くから多くの競合がひしめきあっている。
健康情報に関する記事を集めるサイトはHealthlineやHealthCentralと月間ユニークビジター数で200万人を超えるモンスターサイトが多い。また以前紹介したDairy Strengthのように医者の相談を受ける機能を持っているサイトもある。そういう意味でHealth Tapはこの市場の再セグメント化をしようとしていると言える。
Forbsに「The new era of interactive health」という記事があった。時代は、モバイルの時代に入りソーシャルサービスの時代にパーソナライゼーションの時代に入った。以前は興味を示さなかった医者もウェブの世界に積極的に参加し始めている。今がまさに「インテラクティブな健康管理」を実現するときだと。
インテラクティブな健康管理とは具体的には以下のようなことだ。
・健康改善のためのモバイルアプリやウェブアプリが素早く簡単にいつでもどこでもアクセスできること。
・パーソナライゼーションツールが安全に、個人個人に合わせたすぐに使用可能な健康情報を提供すること。
・信頼のおける医者たちとその知識にオンライン、オフライン問わず24時間365日アクセス可能であること、そして毎日継続的なケアができること。
・患者が病気に対するインフォームドデシジョン(詳細を説明された上での決断)ができるように、患者が経験のある個人個人に合ったサポートグループとコミュニケーションできる基盤をインテラクティブテクノロジーが提供できること。
・シンプルなツールでゲームのようなインテラクションを提供することで人々が自分の健康の改善に関与し続けるよう促すこと。
Health Tapは、このインテラクティブな健康管理に焦点を絞り、強調することで大きく成長しようとしているサービスだと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿