■どういった問題を解決しようとしているのか
英語の勉強、これは英語ネイティブの国の人を除いて世界共通必須の勉強であり、世の中にはきっと何億人もの人が日夜これで悩んでいると思う。特に日本人は中学校から(今は小学校から?)大学に至るまで長期間もの間勉強しているにも関わらず英語の平均スキルは北朝鮮の下、アジアでワースト3に入るとのこと。実に悩ましい。
かくいう僕も英語は中学の頃から苦手科目で大学受験でも大きく足を引っ張った憎い科目。その中でも英語のヒアリング、スピーキングは、さらにヘタクソで自分は耳に障害があるのかと今でも少し思ってるくらいできない。
上記のような切実な悩みを持つ日本人は恐らく僕以外にもたくさんいると思われ、英語のリスニング、スピーキングを安く手軽に鍛えられる機会を作ってくれるニーズは大きい。そこでここ数年で人気が出ているのがフィリピンの人を英会話講師としたオンライン英会話学校である。
フィリピンは、英語が母国語ではないがアメリカが深く関与していた歴史があるためか英語教育が非常に発達しており、ネイティブに近いフィリピン人は多い。なので、ある程度教養のあるフィリピン人を集めて英会話教師にすると、平均年収が25万円程度の国なので恐ろしく安い価格で英会話のマンツーマンレッスンが可能なのだ。
この値段の破格っぷりはすさまじい。仮に日本の英会話学校の場合、Gabaやベルリッツなどで1時間8000円から13000円程度。Novaでも9000円であるのに対し、フィリピン人オンライン英会話の最大手Rarejobだと1ヶ月毎日25分ずつ英会話して5000円である。つまり時間単価300円強。
このようなフィリピン人オンライン英会話のサービスは国内で多く存在しており、ユーザにとって選択肢が多いのが現状だ。
ところが、優秀なベテランフィリピン人講師に毎日英会話をしてもらっても英語が上達しない人がたくさんいる。いや、少し語弊がある。毎日英会話できない人、続かない人がたくさんいるのだ。
英会話学習において、「安い」「気軽にできる」はあくまで副次的な意味しか持たない。重要なのは、「やる気」。モチベーションの維持である。
ベルリッツやGabaが高額でしかも半月とか1年単位でお金を払わされることにはある意味がある。それは、払ってしまったからには継続せざるをえないという拘束である。高額の授業料を払う事でモチベーションを作っているという点も否定はできないと思う。
だが、やはり安くて気軽にできる英会話でありながらモチベーションを保ち継続的に学習が続けられる仕組みがあればそれが一番いいに決まっている。
■どのようなサービスなのか
newnは、フィリピン人の講師を使ったオンライン英会話サービスである。英会話にはskypeを使い、サイトでは講師との英会話日時の予約と決済のみを行う。
基本的に他のフィリピン人オンライン英会話サービスと何も変わらない同じサービス同じビジネスモデルだ。値段設定も30日間毎日25分で5250円とRarejobより少し高めの設定である。ではRarejob等大きな競合相手に何でこのサービスは勝つつもりなのだろうか。
それは、トップページの画像とnewnのキャッチコピー「日本初 ! 女の子と話して学ぶオンライン英会話」でわかる。このサービスは、若いフィリピン人の女の子としゃべりたいという大人の男のニーズに焦点を当てた英会話なのだ。正直その露骨さはびびってしまうほど。他の競合が「フィリピン人の中でも高学歴の人のみを厳選した講師陣」とか「TESOLの資格保有者を多数配置」とか講師の質を盛んに宣伝する中「先生は、18〜22歳のおしゃべり好きなフィリピン人女性」である。
引いてしまった人がいるかもしれないが、ビジネスモデル的にはすごくよいターゲティングだと思う。なぜなら、英会話能力を本当に切実に必要としている最大の顧客層は間違いなく20代半ば〜40代前後の男性であるからだ。wikipediaにある通り、切実な英会話の最大の動機としては、仕事での必要性が上げられる。そして、日本はまだ男性の労働人口が女性よりかなり多いのだ。さらには、一般的に言われてることだが語学の上達は圧倒的に女性の方が速い。デモグラフィクスのデータもこれを裏付けている。以下は、最大手Rarejobのデモグラフィクスである。
そして、彼らの20代半ば〜40代前後の男性の隠れたニーズは前述した通り「モチベーションの維持」である。「かわいい子と話せる」は素晴らしいソリューションであることに間違いはない。
サービスを作る立場になって考えると、こういうマズローの欲求5段階の中でもより下の欲求を満たそうとする何か、強力な訴求力を持つ何かを組み込めないかなとよく考える。決して風俗のサービスをしたいわけじゃないが。Facebookも最初は出会い系サイトだったわけだしねえ。
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