■どういった問題を解決しようとしているのか
今、ものすごい勢いで世界のインターネット人口は増えている。その中でも増加が著しいのは、中国語圏、アラビア語、スペイン語、ロシア語など非言語圏の人々である。英語圏が圧倒的に多数であったインターネットユーザだが今後ますます非英語圏のユーザが増加していくと考えると、インターネットサービスを運営する企業は非英語圏の人々にリーチする方法を考えなければいけなくなる。
特にeCommerceなどの金銭が絡むサービスの場合、ユーザの大多数は母国語以外のサイトを利用することに消極的になる。従って、英語以外のマルチ言語のサイトを持つ事が今後重要になるだろう。
マルチ言語のサイトを持つためには、自分の母国語のサイトを翻訳してもらう必要がある。しかし、既存の翻訳会社に依頼すると非常にコストが高くつくという現状がある。例えば日本の翻訳会社の最大手である「翻訳センター」は、400字の原稿を訳すための料金を3000円〜3500円(英→日)としている。他の既存翻訳会社もだいたい同じような料金設定となっている。
この金額が高いか安いかは個人の感覚によるが、個人や小さな企業が使うサービスとしてはきつい価格設定だと思われる。もっと手軽に個人や小企業が使えるサービスはないだろうか?
また、例えばブログや頻繁に更新されるサイトを運営している人にとっては、コンテンツが更新されるたびに翻訳会社に依頼するのは事務的に効率が悪い。できれば、コンテンツが更新したら自動的にそれを受け取って翻訳を自動で行って欲しい。コンテンツ更新を察知して勝手に翻訳を実施し返してくれるサービスはないだろうか?
■どのようなサービスなのか
myGengoは、インターネット上の人力翻訳サービスである。全世界に翻訳者のネットワークを持ち、様々な言語間での翻訳を既存の翻訳会社よりも安い価格で請け負うことができる。例えば、400字の原稿を翻訳する料金は、最大20$となっている。これは翻訳センターが提示する価格の60%未満となる。
また、納品の速さも特長で依頼の90%以上が24時間以内に完了し、24時間365日利用可能である。
また、myGengoは、APIを公開している。このAPIは、ユーザが既に運営しているシステムから呼び出すことでき、例えばブログが更新するたびに自動的にAPIを呼び出し、更新されたコンテンツを翻訳依頼したり、翻訳された内容を自動で投稿したりすることができる。
では、実際に使ってみる。
まず、メールアドレスでサインアップ後、ログインすると、以下の画面に移る。
翻訳する言語と、翻訳レベルを選択肢、翻訳するコンテンツを入力もしくはアップロードすると、翻訳料金と翻訳にかかる時間が表示される。
僕のブログは1投稿4000円強か。ちょい無理だな(笑)。
■会社/サービス情報
国 | JPN |
---|---|
創業 | 2008/12 |
従業員 | 5 |
月間ユニークビジター数 | 1,349 |
月間ユニークビジター増加率(昨年比) | -75% |
投資状況 | 2011/9: $5.25M(Series A) |
投資総額 | $6.8M |
■市場について
myGengoは、翻訳業界に属し、既存の翻訳会社より安い値段で翻訳することを強みにシェアを伸ばしている。
とはいえ、もちろん欠点もあるわけで例えば、より専門的でセンシティブな内容(例えば法律文書だったり契約書だったり)は、より精度の高い翻訳が要求されるためmyGengoのような1人の翻訳者が訳すサービスではなく、翻訳者と別にチェッカーがチェックするようなサービスを利用するべきだ。
しかし、myGengoによると世の中の翻訳需要はそういった精緻な翻訳ではなく、多少質が落ちたとしても安価なサービスを選ぶほうが多くなってきているようだ。これは、前に書いたようにウェブページの翻訳などが増えたことが原因かもしれない。
myGengoのようなサービスは、いくつか似たサービスが存在する。全てをここで挙げることはしないが、myGengoよりさらに安い価格で提供するサービスもあるし高い価格のサービスも存在する。恐らく、これらの価格は、翻訳の正確さや納期の速さとのトレードオフなのだと思われる。それぞれの価格帯のサービスでそれに一番適したユーザ層がいるはずで、ユーザはどのくらいの正確さを求めるのか考えた上でサービスを選ぶことになるのだと思われる。
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