■どういった問題を解決しようとしているのか
もう10年も前になってしまうが、僕が大学生だった頃と今の大学生とで受けている授業の内容は大きくは変わらないと思われる。だが、インターネットとソーシャルネットワークの発達で、授業の受け方は大きく変わっていくようだ。
大学の授業というのは、少なくとも僕の経験した日本の大学では大人数の生徒を前に1人の先生が黒板を使って講義する形となり、先生がしゃべり、生徒が黙ってノートを書く一方通行の講義である。先生との接触はあまりなく、授業は基本つまらなかった。
シラバスは、確かインターネット上にあったが、せいぜい授業の概要が書いてあったくらいで、実際の細かな予定などは実際授業に出ないとわからない。また、授業の内容に関する議論やわからないことなどを話す時は、一緒に授業に出た友達と話し合うのだが、仲良い友達が同じ授業に出てるとは限らず、情報交換がしづらいことも多かった。
一方先生方も、不満を持っていたはずだ。自分の授業に出ている生徒が日が経つごとに減っていき、座席の後ろに行くほど居眠りが多い。授業中質問してもレスポンスはあまりなく、生徒とのコミュニケーションはほぼない。授業がおもしろいかどうかはその先生の力量次第だが、生徒とのコミュニケーション不足は、インターネットで解決することができないだろうか?そして、生徒とコミュニケーションを取ることにより生徒自身がより授業に積極的に参加するようになり、授業自体の質があがるようなソリューションはないだろうか?
■どのようなサービスなのか
Coursekitは、大学授業のためのソーシャルネットワークサービスである。Coursekitを使う事で先生は、自分の授業の管理をインターネット上で簡単にできるようになり生徒とのコミュニケーションがインターネット上で取れる。また、生徒も自分の取っている授業の管理に加え、同じ授業を取る生徒との情報共有が可能となる。
生徒は、ログインするとまず、Facebook等でおなじみのストリームが表示される。同じ授業を取る生徒とこのストリームを通して情報を共有できる。表示できる情報は、文字情報だけでなく、動画やファイル質問形式(Quoraみたいな感じかな?)もある。
また、自分の授業の予定をカレンダで管理することができる。
授業を共に受けている生徒と先生の情報も見る事ができる。
テストの点数が見れたりして、これは便利。
そして、個人的に感じたのはすごくUIデザインが良いということ。非常にシンプルなデザインながらすごく使いやすい。全体的に良いのだが、個別で気付いた点について今後のウェブサービスを作るときに参考にしたいのでちょっと細かいけどメモっとく。
まず、ストリームの画面でストリームを見るために下にスクロールダウンしていくと、ストリームだけが動き、右側の検索メニューは動かない事。
ストリームを検索メニューのカテゴリで絞ったりするため、使いやすい。
次にカレンダーであるイベントの詳細を表示ボタンを押すと、右側に詳細が出るという動き。
あと、ストリームが限りなく縦に長くなるような画面構成の場合、フッターを右に出すというのも悪くないと思った(以前同じようなものを作ったときにどうしようか迷ったことがある)。
さて、次は先生の画面について。
先生の画面も生徒と同様にストリームやカレンダ、シラバス、授業に参加する生徒の一覧画面がある。テストの点数一覧画面では、全生徒のテストの点数を登録することができる。
ここもUIがひとつ参考になって、実はこの画面中央のテストの点数表は、横に長い表となっている。こういう横に長いと通常横スクロールが必要となり、ユーザには嫌われるUIなのだが、この画面では表の部分で縦スクロールすると、横に画面が動く。こういう仕組みにすると、大きな表を用いても使いやすい画面になるんだとわかった。
また、宿題を出すことや、生徒からの提出状況を管理したりすることもできる。
■会社/サービス情報
国 | USA |
---|---|
創業 | 6/10 |
月間ユニークビジター数 | 4,702 |
投資状況 | 2012/1 : $5M(Series A) |
投資総額 | $6M |
■市場について
Coursekitのような、大学授業のコラボレーションツールは、結構前からあり、最大手は「BlackBoard」という有料サービスである。BlackBoardは世界的にシェアを持っており日本の大学でも導入されている事例があるようだ。CousekitもTechCrunchの記事の中でこのBlackBoardの代替サービスとして作られたと書いてある。つまり、BlackBoardのような授業の管理・コラボレーションツールをソーシャルサービス視点で作り直したということだ。日本でも「すごい時間割」というサービスが始まっておりめちゃめちゃ人気が出ている。この分野はこれから熱いのかもしれない。
↑圧倒的に強いBlackBoardからどれくらいユーザを取って来れるのか目が離せない。
Coursekitのマネタイズ方法は、今のところ明らかではないようだ。ひとまず無料で公開し、ユーザを集めることに集中することになるのだとForbsの記事には書いてある。十分なユーザがついたら広告だけでやっていけるのかもしれないし、フリーミアムな有料サービスを追加で展開していくのかもしれない。
棚が回る冷蔵庫のCM」に呆れる若者の話j−【私の論評】本当の意味でのソーシャルが注目される時代
返信削除ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」
http://yutakarlson.blogspot.com/2012/01/cm.html
最近では、ソーシャルという言葉がはやっていて、ほんどとの場合は、SNSという言葉に象徴されるように、ネット上の言葉です。しかし、この言葉の持つ本来の意味「ソーシャル=社会」も、忘れてはいけないと思います。もともと、社会は経済に優先するものであり、健全な社会なしに、健全な経済もなりたちません。また、今世紀にはいってから、確実に社会が変わっています。これは、現在事業を展開している人、これから新たに事業展開する人も、その本質を理解していなければ、成功することはできないと思います。詳細は、ぜひ私のブログをご覧になってください。
コメントありがとうございます。ブログ 拝見いたしました。
返信削除社会が変わる事で経済が変わる、なのでどういう社会にしたいかを考えながらサービスを考えるべきという考え方はなるほどと思いました。良い指摘を頂きありがたいです。確かに社会的な視点にたってソーシャルサービスを見るという部分に関してまだまだ僕は山田さんやイケダハヤトさんのようにうまくできていないと思います(そういうスケールでの思考のしかたも、表現のしかたも)。色々改善しながら進んでいきたいと思いますので今後ともよろしくお願いします。