■市場規模と成長性
イベントチケット販売サービス市場は2003年頃からあり、英語圏では多くのサービスが乱立している。日本でも複数のサービスがしのぎを削っている状況だ。この市場のサービスとして英語圏サービスを23社、日本のサービス6社を調べた(*1)。
まず英語圏の市場を見てみる。2011年11月のユニークビジター数の全サービス合計は701万だった。仮にこれらのサービスの売上がチケットの販売手数料のみとし、1ヶ月にユーザのうち3人に1人が3000円のチケットを1枚買うとしよう。「ベンチャー市場調査「イベントチケット販売サービス市場」その1」で書いたように手数料は販売額の2.5%+$0.09とすると、21億円の市場規模ということになる。
また、前年度に比べてユニークビジター数は12%増加している。つまり毎年2.5億円ずつ市場が大きくなっているということ。感覚的にもやっとこのサービスが周りに認知されてきて、これからさらにユーザが増えるという印象だったので、こんなもんかなと思う。
もちろん大企業にはとても採算の合わない市場ではあるが市場の1/5でも取れば4億円の売上で恐らく3億くらいの収益が出て毎年0.5億円ずつ売上が増えていくと考えればベンチャーにとってはいい市場だと思う。
次に日本の市場を見てみる。日本は、基本アメリカの後追いなので数年遅れて今まさにサービスが続々と増えている状況だ。
6社の合計ユニークビジター数は、23万。7000万円の市場規模という計算になる。日本市場のサービスは、前年度のデータが取れないため成長率は計算できなかった。とはいえ、アメリカで爆発したサービスがちょうど今から日本でもという時期なのでアメリカ市場の成長率よりは高いと予想される。
■デモグラフィクス
次に、英語圏のユーザについて、その特色を見てみたい。下記のグラフは、それぞれユーザの「年齢」「教育」「性別」「子供の有無」「場所」に関して、平均的なインターネットユーザと比べた偏り具合を表している。グラフが左側に伸びているのは、その項目が平均的なインターネットユーザと比べてイベントチケット販売サービスを使うユーザには少ないということだ。逆にグラフが右側に伸びているのは、その項目が平均的なインターネットユーザと比べてイベントチケット販売サービスを使うユーザには多いということを表す。
まず、年齢は、25〜44歳くらいが特に良く使うサービスであることがわかる。逆に18~24歳のユーザが特に少ないことは、イベントの内容が「若めの社会人」を対象にしたものが多いことを暗示している。具体的にイベントの内容をぱらぱらと見ても、例えばビジネスセミナーだったり、高級ホテルでパーティーだったりと大人向けのイベントが多いことは間違いない。まあまあ予想通りだ。かなり予想外なのは、女性ユーザの比率がかなり多いことだ。実はイベントやセミナーに参加したいという動機を持つのは女性のほうが多いということだろうか。
アクセスする場所として仕事場が圧倒的に多いというのは、なんというかお前ら仕事しろと。。。
次に日本のユーザについて同様に特色を見ていく。
特徴的なのは、英語圏サービスが女性ユーザの比率が高かったのに対し、日本では男性の比率が高いこと。想像になってしまうが、思うにスタートアップ企業の最初のユーザは、どうしてもスタートアップ界隈の人になってしまうため比率的に男性が多く使うことになり、それがやがて一般の人に認知されて行く中で女性中心のセミナーやパーティー的なイベントが多く登録されるのではないかと。
なので逆説的になるが、この市場のスタートアップが次のステージに行くにはいかに女性向けのイベントを増やしていくかがカギになるだろうし、そういうイベント好きな女性が好んで使ってくれるようなサービスにしていく必要があるのだと思う。
<その3へ続く>
■参照
*1 調べた会社は次の通り。
rsvpbook, tweetvite, Eventbee, eventsbot, Eventful, Center'd, amiando, TicketLeap, Acteva, Ticketfly, ticketscript, EventElephant, Partytell, RegOnline, Zoji, Digitick, Mobaganda, eventbrite, meetup, 123signups, ticket-text, mypunchbowl, hotlist, ATND, こくちーず, Partake, Peatix, Twipla, Everevoなお競合情報は、VentureBeat(http://venturebeatprofiles.com/)より取得した。また、デモグラフィクス情報は、Compete.com, Google DoubleClick Ad Plannerより取得した。
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